2012年3月21日水曜日

稲作文化:仏足石(ぶっそくせき)



 《仏足石(ぶっそくせき)
 「仏足石(ぶっそくせき)

 これでもまだ「大太良法師」が仏教と無関係だと思う人は、

 彼の話のヤマが「巨人の足跡」だという事実。

 古代人は裸足で歩くのは当然で、足跡になんか関心を持つはずがない。

 それなのに特別に足跡の話をあちらこちらに残したのは、

 それまで考えもしなかった足跡というものが、

 突然、彼等の話題になるような事態を体験したからである。

 それは稲を植えるためには、過去には避けて通った泥濘(ぬかるみ)に、

 足を入れるという不快な行為が強制される。

 そのときイヤでも順に足跡がつき、その足で歩いた道にも足型がつく。


 もう一つは仏足石(ぶっそくせき)」が当時は釋迦の象徴だったことである。

 中期の仏教は繹迦像を作ることを避けて、

 仏の足型と称するものを聖体として礼拝させていた。

 水稲稲作という不慣れな農業で足型に関心をもった人々に、

 その仏足の話は効果的に「巨人・釈尊」の偉大さを、

 印象づけるはずだったが、

 残念ながら当時の弥生人は、

 インド人ほどの教養環境で育ってはいなかった。

 彼等の印象に残ったのは巨大な肉体をもった怪人が実在するという

 「新知識」だけだったから、

 やがてまだ見ぬ最高指導者の「大太良法師」と混線して、

 ダイタラボッチという怪物の話が出来上がってしまったのである。

 こうした民話は従来は漠然と、

 愚かな古代人の想像した無駄話ぐらいにしか扱われなかったが、

 そうした伝承学はもう古過ぎる。

 ※出典:加治木義博「言語復原史学会・大学講義録21:29頁」

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